風と騒(ジャワ)めぐ夏一夜-2つの大きな才能の出会いでした-

だいぶ前のことです・・・暑い日でした。7月26日(日)、カソリックいわき教会にて午後6時30分からあるコンサートが行われました。
それはヴァイオリン奏者・ヴォイスの太田惠資さん独演のステージでした。
どんなコンサートだったの?と聞かれると、非常に返答に困る。ひと言でいえば、魂が揺さぶられるステージだったとしか答えようがない。
導入の静かでしっとりとしたバイオリンの音色が心地いい。しかし、彼が一声(ひとこえ)発するとどうだろうか。その場の空気が変わる。モンゴルやジプシーの唱法を用いた独特の歌唱などだという。生命の力強さに満ち溢れた肉声は、その場の空間に張りつめた空気を出現させた。
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美しい・・・本物の表現者が持つ独特の世界観が醸し出す美

この空間を振動する空気、雰囲気のすべてを記録することなどできるはずもないが、その姿をカメラにおさめたい衝動にかられた。(実は、開演前に撮影可能かどうか、主催者側に打診した。返答はNO!新聞などの記者以外の取材はお断りしているとのこと。)
一度は主催者側に撮影を断られたが、粘り強く交渉すると太田惠資さんに直接交渉し、OKをもらってくださいとのこと。第1部と第2部の間で、太田さんと直接お話しさせていただく機会をいただいた。名刺を差し出して、あいさつを済ませ、撮影させてほしいとお願いすると、「僕のステージで良ければ、自由に撮影してください。」と快諾してくださった。
歌唱しているパフォーマンスの激しさからは想像もつかないほど、柔らかな方でした。さすがにステージの準備を邪魔してはいけないと思い、あいさつにとどまったが、今となってはもっとお話ししてみたかったと思う。 
ともかく、念願かなって今日の写真掲載となった。

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太田さんの履歴については、公式ホームページを参照していただいとほうが良いと思うが、実に多くの活動をされている。

ユダヤ人のバイオリン弾き役として出演した「GHETTO」(栗山民也氏演出)は読売演劇大賞・毎日芸術大賞を受賞し、映画「人間椅子」(江戸川乱歩)や「白痴」(坂口安吾)などでも謎のヴァイオリン弾きとして出演している。
音楽では、忌野清志郎の全国ツアー(武道館など)をサポートしたほか、「世界ウルルン滞在記」、NHK「蝉しぐれ」(藤沢修平)などの音楽でヴァイオリンやヴォイスを担当し、宇崎竜童氏など著名なアーティストとの共演などを数え上げればきりがない。
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また、今回のステージでは絵本作家であり、イラストレーターでもある沢田としきさんの作品との出会いがありました。

沢田さんは1980年から黒田征太郎のデザイン事務所K2に所属し、84年に独立。「アフリカの音」で第2回日本絵画賞を受賞。同じく絵本作家の長新太は「アフリカに100年くらいいたのかしらと思えるようないい絵である」と絶賛したそうです。「てではなそう きらきら」では日本絵本賞読者賞も受賞。これまで、絵本・共作絵本、コミック、イラスト集などの作品を50作以上発表されています。


リンク:
沢田としき氏の出版物(Amazon)

しかし、今回の風の祭りポスターのイラスト完成直後、体調不良に襲われ入院されました。残念ながら、今回は本人のご出演はなりませんでしたが、イラストを使用して制作したポスター21点が会場内に展示されました。回復をお祈りしたいと思います。

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なお、このコンサートは縄文魂(じょうもんソウル)の会が行っているもので、「風の祭り」と銘打たれている。「風の祭り」は縄文魂の会の発足の翌年から、年2回の定期開催で行われ続け、今回が第54回目の活動だそうだ。
毎回、さまざまな表現者が集い、この現場でしか生成できない、固有で新しい芸術文化を、このいわきの地において創造し、国内外へ発信している。次回は、1月16日(土)佐藤通弘さんを招いて行われます。ご興味のある方は要チェックですね。

#このステージには、有限会社 写空間 福貞浩 氏に招待していただきました。この場を借りて、お礼申し上げます。

2 Comments

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    「とくさん」さん、お疲れさまです
    素晴らしいステージと出会われたのですね
    これも、ご縁があったからでしょうね
    貴重なお写真を拝見させていただきました
    ありがとうございます また寄らせていただきます

  2. SECRET: 0
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    exellentさま、ようこそいらっしゃいました。
    撮影自体はだいぶ前のことなのですが、今日まで紹介することができませんでした。自分の中で未消化だったのです。しかし、昨晩は急に表に出したくなり、掲載となりました。職務上、スポーツの撮影が多いのですが、真剣に打ち込む姿はどなたも美しい。プロもアマチュアもそれは同じです。
    写真は「心を写すこと」だと僕は思っています。「写心」を撮りたいと、いつも思っているのです。
    #このブログに掲載される写真は、風景とスナップがメインですけどね。

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