福島県いわき市で古民家を残して街づくりをしようという活動『中之作プロジェクト(主催:建築家・豊田善幸氏)』が盛り上がりを見せています。
その拠点は中之作川岸地区の築200年になる古民家・・・。東日本大震災の津波の被害を受けた、この建物は『清航館』と名付けられた。現在は、中之作プロジェクトのサポーターとともに改修作業の最中であり、改修後はキッチン付きのレンタル古民家としての活用が検討されている。
この『清航館』で、3月4日(日)、一夜限りのキャンドルナイトが行われた。
キャンドルナイトの主催は、神戸や名古屋等の震災被災地を回って、キャンドルをともし続ける『ひとてとひプロジェクト』。いわき市でフラワーアレンジメント(ブリザーブドフラワー)の教室を開く『花のアトリエ*Mint Green*』さんが活動を通して交流のあった同団体と『中之作プロジェクト』をつないだ。
阪神大震災の被災地・神戸を出発。これまでのキャンドルナイトでは、紙粘土とガラスを使ったキャンドルホルダー作成のワークショップを行うかたわら、メッセージティーキャンドルを集めてきた。(2個入り300円)
2個入りのティーキャンドルに、メッセージを書いてもらい、ひとつは3月11日に宮城で点灯。もうひとつはキャンドルツアーの『バトン』役として、次に開催される都市でのキャンドルナイトに点灯する。
こんな素敵なキャンドルイベントが、中之作で行われた。
その様子を写真で紹介したいと思う。
僕が到着したのは、夕方6時過ぎ・・・中之作漁港の灯台が、静かな海辺に灯りを投じていた。
『清航館』の庭先から玄関先まで、柔らかな灯りの道をキャンドルが作り出していた。
清航館に一歩足を踏み入れると、幻想的な空間が広がっていた。キャンドルから漂うアロマの香りと、幽玄なBGM。築200年の古民家に、光のページェントが広がっていた。
築200年の古民家をステージに、森川大樹さんのキャンドルアートとガラス工芸作家・湊 久仁子さんの光の共演。
普段の暮らしで使う、電気の明かりとは違った灯り。かすかに感じる温かさ・・・。参加者の表情にはほっこりとした笑みが浮かんでいた。
それ自体も美しさを持つ古民家の棚が、ろうそくという伝統的な美しさで彩られる。
『清航館』館長から今後の取り組みについての挨拶があり、続いて、このキャンドルナイトを主催した『ひとてとひプロジェクト』の湊 久仁子さんから挨拶があった。この頃には、館内に人が入りきれないほどの盛り上がりとなった。
眼前に広がる『光の海』・・・。奥では、湊さんによる『キャンドルホルダー作成のワークショップ』が行われている。
皆それぞれに、光の海を写真に収めていた・・・。
さらに、キャンドル・アーティストの森川 大樹氏に話を聞くことができた。
森川 大樹氏は、「ADDICT CANDLE」を主催し、各地でキャンドル・ナイトを行ってきた埼玉県北本市に本拠地を置くアーティスト。「キャンドルは明かりを灯してこそ価値のあるもの。キャンドルの持つ温かさ。優しさで、少しでも人々の癒しとなればと思い、各地でろうそくの明かりを灯す活動している。」3月11日は宮城県でキャンドルナイトを行う予定という。
メッセージの書かれたメッセージティーキャンドル。いわき市で確実に灯った・・・。バトンは宮城県につながれる。
メッセージティーキャンドルは、『光の海』のグラスの中でも灯されている。それぞれは小さくても、温かい光を発する。
このキャンドルの温かさは、復興への願いを込めた人々の心の暖かさかもしれない。
小さな動きかもしれないが・・・真剣に願ってくれていると感じます。
ワークショップの『紙粘土と色ガラスのキャンドルホルダーづくり』
ワークショップへの参加費は1500円、収益金は義捐金として被災地に届けられる。たくさんの人が取り組んでいました。作った作品は持ち帰ることもできるが、3.11の宮城でのキャンドルナイトへ託すこともできる。
夢中でキャンドルホルダーづくりに取り組む親子。とても楽しそう・・・。
(※知り合いのお子さんです。撮影のご快諾ありがとうございます。)
キャンドルホルダーの中にティーキャンドルを入れると、赤や青、色とりどりの明かりが漏れる・・・。きっと暗がりでは幻想的な灯りになるだろう。
最後に、この催しに関係した方々の集合写真を撮らせていただきました。
清航館は、今後もこのような集会所、イベント会場としても使われる予定とのことだ。今夜はその船出といえるだろう。今後の動向にますます注目していきたい。