第40回いわき市民美術展覧会・写真の部を見てきました。

平成23年2月25日~3月6日、いわき市立美術館にて『いわき市民美術展覧会・写真・陶芸の部』が開催されていました。最終日の6日、何とかすべりこみで見てきました。
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最近、クリップオンストロボの使い方を研究中。壁バウンス、天井バウンス、バウンスさせる場所と角度によって、影のでき方、色温度・・・いろいろ変わる。面白いぞ。写真は適当に作った鳥五目御飯。右側からグレーのカーテンにバウンスさせてストロボを焚いた。

いわき市に住んで9年目になりますけど・・・実は市美展を見に行くのは初めてのこと。

どの作品にも写真を愛する気持ちがこめられていて、作品づくりにかける情熱がひしひしと伝わってきました。気になる作品は7点くらいあったのですが・・・そのなかでも特に気になったものについて、いくつか感想を述べたいと思う。

  1. いわき市長賞 『撮影会』 泉武子さん

    撮影場所は、いわき市民にとってはなじみの深いアクアマリンふくしま。その中でも人気者のセイウチの水槽の前です。セイウチ君をバックに記念写真・・・みんなやったことがあるんじゃないかな。
    そう、特別な場面じゃない、しかし、強烈なインパクトがあった。
    なぜか・・・。
    記念写真を撮っている親子のためにポーズをとっているかのようなセイウチ君、そして、お母さんに笑顔をむけるかわいらしいお嬢さん。それを取り囲む群衆。計算されつくしたかのような構図とシチュエーションでした。
    お母さんのカメラには、愛娘のはじける笑顔と、セイウチ君のかわいらしい姿が記録されたことでしょう。まさにベストタイミング・・・やった!という達成感ですよね。周りの群衆からはその親子とセイウチを見て「かわいい~~」という声がでていたことだろう。
    この素晴らしい一瞬を見事に写しとめた。撮られるものの気持ち、とっている人の気持ち、群衆の気持ち、その3つの気持ちを写しとめた『写心』だったと思います。
    市長賞にふさわしい作品と思うのでした。
  2. いわき市議会議長賞 『 imagine 』 タイラクナツキさん

    この作品、凄く完成度が高い。丁寧な作品づくりだと思う。
    少女の周りは赤で統一され・・・わずかに笑みを浮かべた少女に一つの静物であるかのような、存在感を与えていた。この少女は永遠にこの世界の中で少女のまま存在するのだと思わせた。
    さらに面白いのは、この作品の見せ方・・・一枚のプリントを複数の正方形のキャンパスに分割し、それをさらに正方形の額に納めている。まるで窓の中に窓があるような感じ。おもしろい。額の中が閉じた世界になっている。こんな表現があるのだなと思いました。
    タイラクさんのお名前は良く拝見していたけど、今後も注目してみたいと思いました。
  3. 美術館友の会賞 『クツガホシクナール』 DWARF(ドワーフ)さん

    3賞には入賞しなかったけれど、この作品は表現が独特で驚いた。
    印画紙へのプリントやパネルで展示している作品が多い中・・・これはどうやって作ったんだろうと思わせる作品。たくさんの色とりどりのクツ・・・格子状に並べられている。これだけのクツに囲まれれば楽しいはずだ。
    でも、その上に透けて存在する少女(?)・・・この少女の色調は薄暗い印象。色がない・・・。なんだろう?楽しそうには見えない。
    たぶん少女(?)の気持ちは・・・。
    内なる世界を表現しようとする気合いのようなものを感じましたし、足を止めて見る人の多い作品でした。

このほかにも、素晴らしい作品はたくさんあったのです。いわき市教育委員会教育長賞 『専心』 跡部裕人さん、いわき市文化協会会長賞 『激突』 丹野孝さん、ライフフォート&YK写真工房賞 『あくろばっと』 斎藤趙一さん、佳作 『奏でる(村重光敏)』 サカイタカシさんなど、あげたら本当にきりがありません。
良い勉強させていただきました。ありがとうございます。