今年の専称寺は梅と桜が同時に咲きました。本堂も改修工事に入ります。

 4月15日(日)、福島県いわき市にある浄土宗のお寺「専称寺」の梅と桜を見てきました。
 
20120409_sensyoji-3.jpg
専勝寺は、浄土宗名越派の惣本山として、僧侶の修行も行われていた修行のお寺です。境内には約500本の梅があり、東北地方の梅の名所としても知られています。なお、総門・本堂・庫裏は国指定重要文化財に指定されています。
いわき市の寺社は少なからず震災の影響を受けており、何かしらの改修作業を行なわれるところが多いと聞きます。専称寺も御多分に漏れず、総門と本堂の取り壊し・改修を行われるとのことです。
そろそろ改修作業が始まると聞きましたので、梅の季節に合わせて撮影してきました。(今年は例年よりひと月ほど梅の季節が遅れています。)
参道には桜が咲き誇ります。 

今年は、梅がほぼ一か月遅れまして、桜の咲き始め梅の満開が重なりました。そんなわけで、が同時に楽しめるというサプライズ。 参道にはたくさんの桜が咲きました。 
20120409_sensyoji-1.jpg
桜と青空は本当に仲良し、いい色ですね~。  
20120409_sensyoji-2.jpg   
地面に視線を落とすと、ヒメオドリコソウが小さな花を咲かせています。  
山肌を白と薄桃色に染める梅の花。いわき市平山崎にある「専称寺」は、市内有数の梅の名所として知られています。室町時代の1395年(応永二年)に開山され、現在のような梅林になったのは昭和初期とのことですが、開山当初より「梅福山」の山号が付いていたそうです。

また、浄土宗名越派の奥州総本山として、多くの僧が修行に勤しんでいたともいわれます。本堂にはいたるところに葵の御紋を見ることができることから、徳川幕府の菩提寺でもあったのだなとわかります。

20120409_sensyoji-4.jpg
なお、浄土宗は、1175年(承安五年)に法然上人が開宗され、上人の死後、名越派を含む6つの宗派に分別しました。そして、1923年(大正十二年)の宗派統合まで、奥州総本山としての役割を担ってきました。本堂を含む伽藍や山裾にある山門は、国の指定重要文化財です。
訪れた際は、美しく咲き誇る梅の花のみならず、<専称寺>が歩んできた歴史、風格のある建造物にも注目していただきたいと思います
。  
  
開山から600年・・・総門も老朽化と震災のダメージにより、補強を入れて建っているのがやっとの状態。梅の季節までは観光客を迎え入れようということでしょうか・・・改修を先延ばしにしてきました。  
  
20120409_sensyoji-5.jpg 
総門につけられた棟札に墨で何か書いてるのですが・・・もう読めなくなっています。時間の流れを感じます。  
20120409_sensyoji-6.jpg
水場には龍がいました。龍は神獣・霊獣であり、麒麟・鳳凰・霊亀とともに四霊のひとつとして扱われる。水中か地中に棲むとされ、その啼き声によって雷雲や嵐を呼び、また竜巻となって天空に昇り自在に飛翔すると言われる。
なお、この水場には「洗心」と刻まれていました。口や手を清めるという所作の中に、心の穢れも洗い清める意味を持たせているのでしょうか。修行のお寺らしい格言です。
鐘突き堂 
20120409_sensyoji-7.jpg   
参道から続く坂道をまっすぐのぼってくると、見事な鐘突き堂をこれまた長い階段わきに見ることができます。これが威風堂々たる風格。 
  
20120409_sensyoji-8.jpg
鐘突き堂からは平の町を一望できる絶景です。そして眼下には白梅と紅梅が見渡せます。 
20120409_sensyoji-9.jpg
白梅の奥には紅梅が咲いています。  ほぼ完全に開いていて、満開の状態。  


20120409_sensyoji-10.jpg
20120415_senshoji-17.jpg
20120409_sensyoji-12.jpg
足元には散っていく白梅の花びらが、絨毯のようになっていました。
20120409_sensyoji-13.jpg
そして、境内には春の花「水仙」がさいています。
20120409_sensyoji-14.jpg
残念ながら、本堂には赤い紙が貼られていました。被災建築物応急危険度判定により、「危険」と判定されたのです。

被災地域では、その後に発生する余震などによる倒壊の危険性や外壁・窓ガラスの落下、付属設備の転倒などの危険性を判定することにより、人命にかかわる二次的災害を防止することを目的としています。

この歴史的建築物も「危険」と判定されました。600年を超える建築物が倒壊に危険にあるとは、まことに残念です。
この春から、修繕工事に入るとのことですので、お断りして本堂の内部を撮影させていただきました。
20120409_sensyoji-17.jpg 20120409_sensyoji-16.jpg
長い年月の風雨にさらされたことで、壁や床には相当の痛みがありました。しかし、柱や建具からは悠久の時の流れを感じることができました。
20120409_sensyoji-19.jpg
20120409_sensyoji-20.jpg
20120409_sensyoji-21.jpg
20120409_sensyoji-24.jpg
奥州総本山の書が力強い。
20120409_sensyoji-22.jpg 20120409_sensyoji-23.jpg
残念ながら、ご本尊様はすでに取り出された後でした・・・主の不在に少しさみしい感じがいたします。
20120409_sensyoji-25.jpg
20120409_sensyoji-26.jpg 20120409_sensyoji-27.jpg
20120409_sensyoji-28.jpg
ご本尊様の取り出された本堂ではありましたが、ご信徒の方が名残を惜しむようにいらしていました。
20120409_sensyoji-30.jpg
20120409_sensyoji-31.jpg
今では多くの方に親しまれている、梅福山「専称寺」・・・。本堂の完成は5年後とのことです。

1 Comment

  1. SECRET: 0
    PASS: 696d29e0940a4957748fe3fc9efd22a3
    何というか、京都のお寺さんなどとは違って、鄙びた中にも風情がありますね。思わず、心が和むようです。

Comments are closed.